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笹瀬 雅人
放射線化学, 2001(72), p.42 - 45, 2001/08
高温超伝導体の材料応用においては、超伝導転移温度(T)ともに臨界電流密度(J)の向上が不可欠である。しかしながら従来までの高温超伝導体においては、電流を流すことにより磁束量子が動き、超伝導特性が急激に低下する問題点を抱えていた。これに対し著者は高速の重イオンを超伝導体に照射することにより磁束を固定化し、Jを向上させることに成功した。本稿では数MeV~数百MeVの広範囲なエネルギー範囲でイオン照射を行い、種々の照射条件における欠陥の形状、損傷の形態を高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察し、電子阻止能(S)及びイオン速度との関係等について検討を行った結果を中心に紹介した。本研究により照射イオンの阻止能(S)の増加とともに円柱状欠陥の直径も増加し磁束固定化の効果が高くなること、またイオン速度の極端に高い領域では欠陥形成とイオンが固体中を通過する時間スケールが近づくためにSだけでなく欠陥形成に与えるイオン速度の効果が無視できないことを明らかにした。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 石川 法人; 黒田 直志; 神原 正*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 164-165, p.408 - 414, 2000/04
被引用回数:7 パーセンタイル:47.25(Instruments & Instrumentation)照射アニーリング、すなわち照射中の欠陥消滅に焦点を絞って、鉄における電子励起効果について議論する。鉄薄膜試料(厚さ200nm)に低温(77K)で1MeVイオン、100MeV重イオン、GeV重イオンを照射して、そのときの電気抵抗の変化から試料への欠陥蓄積挙動を調べた。また照射後試料を等速昇温法でアニールすることにより、照射で生成された欠陥の回復挙動を調べた。照射中の欠陥蓄積挙動から各イオンに対する欠陥照射面積が得られた。解析の結果、100MeV,GeV重イオンでは電子励起による欠陥消滅が支配的になり、さらにその断面積は、電子的阻止能に対して非線形に依存しているだけでなく、イオン速度にも依存していることがわかった。また、照射後の欠陥回復挙動の結果からも電子励起が照射アニーリングに寄与していることが確認された。
三浦 幸俊; 相川 裕史; 星野 克道; 河西 敏; 河上 知秀; 川島 寿人; 前田 彦祐; 松田 俊明; 森 雅博; 小田島 和男; et al.
Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research 1990, Vol.1, p.325 - 333, 1991/00
JFT-2Mにおいて観測される閉込め改善モード(H-mode,Improved L-mode,Counter NB injection Pellet with H-mode)は、その実現に異なる手段を用いているが、密度分布から2つの改善モードに大別できる。1つはプラズマ周辺に急峻な密度および温度分布を持つH-modeであり、他はプラズマ中心から急な密度分布を持つ改善モードである。L/H遷移の研究から、H-modeプラズマは、プラズマ周辺ポロイダルラーマー半径程度に-150V/cmの径電場が形成されていること、およびプラズマ周辺イオンの速度分布関数が、H/D光の減少より先に起こっていることを明らかにした。Ergodic Magnetic Limiterの実験で、H-modeの不純物の増大をおさえた、定常なH-modeを実現でき、その運転領域を明らかにし、H-modeの制御性を示すことができた。